YOHAKU :どうも、YOHAKUです。
今回は食育スペシャリストのとけいじ千絵さんに、子どもの味覚の育て方についてお話を聞いてきましたよ。
「おいしさの感覚」を育てるには、「食べ物以外」も大切なようで...。
それではどうぞ。
ヨハハ ~
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「新しいおいしさの発見」を助ける
YOHAKU : 早速ですが。「子どもの味覚を育てる」って、どういうことですか?
とけいじさん(以下、とけいじ):簡潔に言うと「わかりやすい味を卒業して、さまざまな味を受け入れ楽しむ大人の豊かな味覚に近づけていくこと」です。
「わかりやすい味」とは、「赤ちゃんや子どもが元々好きな味」のことをいいます。甘みや旨味、適度な塩味、あとは脂肪の味も含まれます。いずれも3大栄養素を含んだ子どもの成長にとって必要なものだからです。
一方で、子どもは酸味や苦味を本能的に警戒します。酸味も苦味も、元々は腐敗や毒など人体に「危険を知らせる味」だったからです。でも、酢の物の酸味や、お野菜のほのかな苦味、根菜類の土の香りなど、食べ物には無限のおいしさが秘められていて、そこを味わえることに「大人の味覚の豊かさ」があります。
甘みや脂肪の味など、成長に必要最低限なものを好む味覚を卒業して、いろいろな味を知っていく。「新しいおいしさの発見を助ける」ことが、味覚を育てることになるんですね。
YOHAKU :ほぅほぅほぅ… 子どもの味覚は、可能性に溢れているんだなぁ。
ちなみに、大人の味覚も育てられるんですか?
とけいじ:ご安心ください、もちろん育てられます! ただ、食の知識を言葉で伝えながら味わうなど、大人にはアプローチが変わってくるんです。これはまた、別の機会に…
▲ めざすは、大人の豊かな味覚。
苦手な味への警戒をとく
YOHAKU :とけいじさんは、「美味しさの感覚」の大半は「学習によって獲得するもの」と発信されています。どういった学習の機会を用意してあげられるのでしょう?
とけいじ:特に離乳期には、食べ慣れたものだけではなく「新しい食材をどんどん試す」のが大切です。
身体の器官とは違って、味覚は年齢とともに発達していくわけではありません。生まれてからすぐの方が敏感なのですよ。なんだか不思議ですよね。
しかも、離乳期は、食べ物に限らず、なんでも口に入れてしてしまう時期。これは、「食べられるものか」「どんな味」かを積極的に確認しているんですね。このトライ&エラーを、否定せずに手伝ってあげましょう。いろいろな食材を、一口だけ味見させるのでもいいし、口から吐き出しちゃったらそれはそれでいいのです。
YOHAKU :トライ&エラーを繰り返しているわけだ。
とけいじ:その通りです。ただし、一度きりではなく何回も食卓に出して、食べ慣れさせてあげることが大切です。日を置いて与えて、また別の機会に与えて…を繰り返して、苦手な味への警戒心をなくしてもらうようにしましょう。
このとき、「どんどん新しい食材を試さなきゃ」と難しく考える必要はありません。安く買える旬の食べ物で試してみるくらいの気持ちで大丈夫。旬の食べ物は栄養価が高く、味もしっかり濃いので、味覚を育てるには最適なんです。
YOHAKU :安くて美味しい旬の食材が、味覚の育成にもぴったりだったとは…
▲ 苦手な食材も、旬なら好きになれるかも
「おいしさ」は「楽しさ」から
YOHAKU :「おいしい」と感じるのは、食べ物自体だけでなく、まわりの要素も影響するのだとか。普段、どういう環境づくりを心掛けるとよいのでしょう?
とけいじ :1つ目は「リラックスして食事を楽しめる環境」、2つ目は「食べ物に意識を向けさせてあげるような言葉掛け」ですね。
たとえば、「仕事前に急いで食べたコンビニのおにぎり」と、「爽やかな陽気の休日に芝生にシートを敷き、家族や友達たちと一緒に食べたコンビニのおにぎり」… 同じおにぎりでも味が全然違いますよね。味自体だけではなく、楽しい場面で食べたものはおいしく感じ、好きになれるわけです。そういう意味で、お気に入りのキャラクターの器を使ったり、ぬいぐるみと一緒に食べる練習をするといった工夫も効果的です。
また、離乳食づくりを張り切りすぎると疲れてしまいますから、ありものの手抜き料理でも、既製のベビーフードでも全く問題ないので、家族での食事の時間を大事にしてください。また、新しい味や苦手な味を試させるのは、食卓じゃなくてもいいのです。キッチンでのお料理中に味見させてあげるのでもよいでしょう。
YOHAKU :つまみ食いって、美味しいもんなぁ… 。
とけいじ :2つ目の「食べ物に意識を向けさせてあげる言葉掛け」というのは、例えば食材の色や形など、食べ物についてお話ししながら食事することです。
子どもが「何の味かわからないまま咀嚼して飲み込むだけ」だと、豊かな味覚教育とは言えません。「ホロッとしているね」「ねばねばしているね」とか「オレンジ色が隠れているね」のように、「実況中継」をする感じで話しかけてあげましょう。食事に興味がなかった子どもでも、しだいに意識が向き始めます。「早く食べなさい」と言うだけではなく、食事は楽しいものと感じてもらうことが大切ですね。
YOHAKU :なるほどなるほど、大人が投げかける言葉が、子どもと食べ物をつなぐんですねぇ。
▲学びの機会は、いろんなところに。
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YOHAKU :いやはや、勉強になりました… 子どもも大人も、食べ物を見る目が変わってきそうですねぇ。
次回も引き続き、とけいじさんにお話を伺いますよ。
それではまた。
ヨハハ ~
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【今回お話を聞いた人】
とけいじ千絵さん :
フードアナリスト/食育スペシャリスト。「審食美眼(=食に対する審美眼)を磨き、彩りある食生活を」をモットーに、『審食美眼塾』を主宰する、食のスペシャリスト。現在は、大手企業のコンサル業務、セミナー講師、保育園給食監修をはじめ、各種メディアで活躍中。
WEBサイト:https://www.shinshokubigan.com/
SNS:https://www.instagram.com/chietokeiji/