だしで学ぶ日本の歴史【後編】

だしで学ぶ日本の歴史【後編】

YOHAKU Drip

YOHAKU Drip

YOHAKU :どうも、YOHAKUです。

今回も、「だし」や「節」の歴史にお詳しい ㈱マルハチ村松 大石氏にお話を聞いてきましたよ。

かつお節がここまで普及できたのは、つくり方の工夫や、おさかなの特性もあるようで...。

それではどうぞ。

ヨハハ ~

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かつお節づくりの、虎の巻?!

YOHAKU : かつお節をみんなで協力してつくるための「虎の巻」があるとか

大石氏 :かつお節の味や香り、仕上がり姿などの品質規格を定めた「焼津鰹節標準型」(下図)というものがあります。

前回、焼津が明治時代に入ってからかつお節の産地として栄えたことをお話ししましたが、実は焼津は目の前の海でたくさんかつおが獲れるわけじゃないんです。加工技術が最初にあったんですね。

当時は遠洋漁業(大型漁船による遠海での漁業)でもなんでもないので、かつおは日本の太平洋側の各地で水揚げされ、土佐や紀州以外にもいくつかの産地でかつお節が作られていたのですが、需要が増えて生産拡大するにつれて、効率化のために各地の乾燥途中のかつお節(荒節のこと)を焼津に送ってもらい、焼津で一括して仕上げていました。このような背景から、安定した品質のかつお節を生産するために品質の規格化、統一化を図り、製造工程を標準化した「焼津鰹節標準型」が生まれたんですね。

それまで江戸時代の幕藩体制の影響もあり、製造技術なんてものは基本的に門外不出。閉鎖的な風潮だったのですが、分業するために他のかつお節の業者に技術を教えて「一緒にやっていきましょう」ということを始めたんです。当時は相当新しい取り組みだったと思いますね。

YOHAKU :そりゃ〜たまげた。画期的な仕組みですね。

だしの歴史

「だし」に学ぶ、サステナビリティ

YOHAKU :おさかなにも、漁れなくなりやすいものと、そうでないのがあるんですって?

大石氏 :一般論としてお話ししますと、漁れなくなりやすいのは「底生魚(水底に接して、砂や泥の中に住む、ヒラメやカレイ)」や、ハタのように卵の数が少なくて食物連鎖の頂点にいながらも成長するのに時間がかかるおさかなです。

その点、海洋資源として無くなりにくいと言われているおさかなは「回遊魚」です。大海原を大群で泳いでいるような、まぐろかつおなどですね。ただ、回遊魚でも、いわし・あじ・さんまなどの、陸に近い海に住んでいるおさかなは気候の影響を受けやすいです。種類によっては人による乱獲の影響もありますが、ラニーニャ現象(※1)やエルニーニョ現象(※2)みたいな環境の変化や、黒潮の蛇行の発生(※3)が関係しているように、地球規模での影響が大きいとも言われているんです。

YOHAKU :なるほどなるほど、ひとくちに「海洋資源がない」と言っても、いろいろあるんだなあ。そんな中、たくさん漁れたおさかなを工夫していただく文化というのはサステナブルかもしれませんねぇ。

※1)ラニーニャ現象:熱帯太平洋の海水温度が東部では低くなり、西部では高くなる現象。

※2)エルニーニョ現象:熱帯太平洋の海水温度が東部では高くなり、西部では低くなる現象。

※3)黒潮の蛇行の発生:海水温度が高い「暖水渦」と低い「冷水渦」に沿って黒潮の海流の道筋が変わること。大蛇行が発生すると温度分布や潮位が変わるため、海洋生態系にも影響が現れる。

かつお節

冬も夏も、おいしいだし

YOHAKU :この辺で閑話休題。YOHAKU Drip でおすすめの飲み方ありますか?

大石氏 :そのままでもおいしいですが、他の食材をトッピングしてみると、無限にバリエーションが生まれて面白いです。

私のイチオシは、梅干しですね。中にぽとって入れて。特に、梅に負けない強さのある「荒節」味がいいかなと思いました。うちの子どもは、だしにとろろ昆布を入れてあげると「おいしい、おいしい」とおかわり連発でした。

あと、温かいだしを温かい焼酎で割るのもおすすめです。おでんの汁で割るおでん割りに近い感じですかね。

個人的にアリかなと思った方法は、だしを薄めて麦茶のポットなどに入れて冷やしておいて、おそうめんのめんつゆを希釈するときに使ったりとかですね。たとえば500ccくらいの入れ物を用意して200ccくらいでだしをとり、水を300ccほど足して薄めのだし汁をつくっておくといいかなと思います。料理に使ったり、冷たい状態で飲んだりとかして。

YOHAKU :うわぁ、さっすがプロフェッショナル。 帰ったらやってみよ。

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YOHAKU Drip

YOHAKU :いやはや、勉強になったなあ。2回にわたってお送りしてきた、「だしで学ぶ、日本の歴史」は、いったんここまで。教科書には載っていないような、いろんなお話が聞けましたねぇ。

それではまた次回をお楽しみに。

ヨハハ ~

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【今回お話を聞いた人】

㈱マルハチ村松 大石氏

https://www.08m.co.jp/

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